ホンログ
読んだ本の感想やらを垂れ流す、よくあるアレ。 比較的マイナー志向なような、そうでもないような。 あと一応書店員ですが、あんまり関係なさげ。
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「シフォン主義」 (相対性理論)
[No.112] 2009/01/31 (Sat) 03:10
![]() | シフォン主義 (2008/05/08) 相対性理論 商品詳細を見る |
ちょいとミーハーに過ぎる気もしますが、ハマっちゃったから仕方ない。
新譜が鬼のように売れている、相対性理論の1stなど。
脱力感たっぷりの、淡白ロリ声vo(広橋涼さんっぽい声w)で歌われる、
言葉遊びのようでどこかSFチックな、ちょい未来型なポップチューン。
ほんのりジャーマンロックやインディギター勢を感じさせる、
ザックリ小粋なバンドサウンドも良い感じ。
とびきりキャッチーなのに温度を感じない、不思議ポップス。
vo・やくしまるえつこさんの声がめちゃくちゃ好きです。
上手いわけでも、特徴のある声でもないんだけど、
スッと耳に溶けていく、変な心地良さがあるというか。
キラーチューン「LOVEずっきゅん」を始め、5曲ぜんぶ、ヘビーローテ中。
彼女たちとか、あとCymbalsとか、
「なんちゃって感」というか「お遊び感」というか、
飄々とした佇まいのバンドがツボなのです。
「俺についてこい!」みたいな音楽も良いし、
「あたしの歌を聴けぇッ!」な音楽も良いですが、
「こんなんやってみたけど、どうよ?」って半笑いで問いかけてくる感じの、このスタンス。
これが、個人的にはすごく気持ちの良い距離感で。
ありそうでなかなかないこの手のお気に入りが増えて、純粋に嬉しいなあ、と。
そんな感じで、
久しぶりにCD買いました。名盤。
テーマ : お気に入り&好きな音楽 - ジャンル : 音楽
「深泥丘奇談」 (綾辻行人/メディアファクトリー)
[No.111] 2009/01/16 (Fri) 03:45
![]() | 深泥丘奇談 (幽BOOKS) (2008/02/27) 綾辻行人 商品詳細を見る |
綾辻さんの本を読むのは久しぶりだー。
館シリーズ全部と霧越邸、殺人鬼を読了してる程度にはファンだったり。
体の不調から深泥丘病院に通院することになった作家の「私」が、
眩暈とともに体験するささやかな怪奇。
町に伝わる水妖、夢の中で開いてしまう禁忌の扉、人面癬、虫…
日常の位相がグラリとずれる感じの、連作短編。
いままでの作品では、
綾辻さんの幻想趣味については「あと一歩だなあ」と思ってたのですが、
コレはなかなか面白かった!
クトゥルー風味や生理的嫌悪感、ミステリ仕立てなど、
統一感はないけどバラエティに富んでて、飽きさせません。
なかでも「丘のむこう」なんかは他所では見られない、
独特の光景が広がる怪談に仕上がってましたし。
ミステリだとトリックが鮮やかすぎて隠れがちだけど、
地味にキャラクターや雰囲気作りが面白い人だなあ、と。
遺跡を名物として、独特の風習が多い町の雰囲気。
同じ顔、同じ名前の医師。謎の多い看護士。
奇怪な伝承を常識として語る妻。
舞台そのものと、主人公を巡る人々にすごく味がある。
この奇妙な町を、もっと歩いてみたいと思わせるに充分です。
まあ、いくつかの話でオチの方向性が被ってたり、
書き方的にツメが甘かったり、
怪奇小説としてはまだまだ伸びしろが多いのも事実だと思いますが。
(怪談としての出来っていう視点で他の作家と比較しつつ読むと、
ちょっとガッカリするかも…)
そんな感じで、綾辻さん流ホラー。
是非今後もやっていって欲しい方向性です。
あと祖父江慎さんによる、素晴らしすぎる仕事の装丁も必見。
「まほろばstories」 (PS2)
[No.110] 2009/01/16 (Fri) 02:59
![]() | まほろばStories(通常版) (2007/07/26) PlayStation2 商品詳細を見る |
1980円で売ってたので、なんとなく購入&クリア。
着せ替えフィギュア・ピンキーストリートとデザインの人が同じなRPG。
17歳から18歳へ変わる夏の日。
母親とケンカして家を飛び出した少女・スズは、
友人のアルエ、トッコ、マリゾーの仲良し4人組と「おばけ図書館」にいく。
そこで彼女らが出逢ったのは、喋る黒猫と「修復士」のエガリ。
歪められた物語の力で図書館に閉じ込められてしまった彼女たちは、
本を正しいあらすじに戻すために「修復」することに…という話。
奇をてらわない、まっすぐな御伽噺でした。
20台もなかばの僕には、
ここまでド直球なメルヘンは、輝きが強すぎないでもないのですが(w
単純に、良い話、キレイなエンディングで、こんなのもたまには良いかな、と。
なにより、どこか寂しげでノスタルジックな「おばけ図書館」と、
黒猫に導かれて本の世界に飛び込んでいく少女たち。
この絵面そのものが、好みのド真ん中なのですよ。
ちょっと前向きになるための、ただそれだけの物語、っていうのも。
…まあ正直、ゲームとしての瑕疵はけっこうあります。
操作を奪われている時間の長さだったり、
頻繁に入るロードだったり、
着せ替えがウリなのに商品が試着できなかったり、
髪型変えると誰が誰だか解からなくなっちゃったり…
どう良く言っても「佳作」だとは思うんですが、
箸休め的に、こんなゆったりした作品があってもいいかなあ、と僕は思います。
(まあ定価で買ってないから言えるのかもしれませんが)
そんな感じで、まあまあ楽しめました。
あとコレ、BGMがめちゃくちゃ良いと思うのだが、どうか。
おまけ、声優さん方面の感想。
これはもう、坂本真綾劇場です。
まっすぐで真面目な文型少女。絵本的な世界観。
真綾さんの魅力の、いちばん王道な部分が出てますよ。
(なんとなく、ハチポチの曲群を思い出した…)
つーか正直、彼女の芝居に引っ張られてクリアできたといっても過言ではないw
脇は手堅い感じでまとまってますが、
今野宏美さんの黒猫・トトは自然で可愛かったかな。
全体的に違和感のないキャスティングで、満足でした。
「ラミア虐殺」 (飛鳥部勝則/光文社)
[No.108] 2009/01/10 (Sat) 03:07
![]() | ラミア虐殺 (カッパ・ノベルス) (2003/10/21) 飛鳥部 勝則 商品詳細を見る |
ニュースな本棚で取り上げられてたので読んでみました。
オビの文句、煽りすぎw
世界各地でUMAが目撃され混乱を生む中、
元傭兵の探偵・杉崎は、製薬会社の一人娘・美夜の依頼を受けて、
雪に閉ざされた山荘へと導かれる。
起こる連続殺人、推理しようとしない住人、やがて彼らは殺し合いの準備を始め…という話。
…なんつーか、怪作です。
ハードボイルド、ホラー、ミステリー、バトル…
全ての要素を含みながら、どれにも成り切れてないw
噛みあわない会話と唐突な薀蓄、そして予想の90度上を行く超展開。
「中学生がやりたいようにやったらこうなった」みたいなミクスチャー感覚。
でも、読んでて楽しいんですよ、これが。
ラノベ的な青臭さや、ファウスト系みたいな自己陶酔が微塵もないからかなあ。
単純に、次々と起こる妙な展開に心が躍ります。
根幹のミステリ部分は割とふつうで、周辺に広げた風呂敷も畳まない。
ここまできたら、いっそ清清しいわw
ジャンル…特にミステリに拘って読んだら、間違いなくハズします。
「殉教カテリナ車輪」の細密画のような世界を期待しても、やっぱりハズします。
あらすじ読んで、単純にエンターテインできそうだと感じたなら、
あるいは酔狂を酔狂として楽しめるなら、意外とおもしろい……はずw
そんな「やっちゃった」感の強い作品。
僕は、好物でした。
「幽談」 (京極夏彦/メディアファクトリー)
[No.106] 2009/01/06 (Tue) 02:28
![]() | 幽談 (幽BOOKS) (2008/07/16) 京極夏彦 商品詳細を見る |
京極夏彦さんの、読み逃していた一冊を。
薄墨を溶かしたような、枯淡の怖気。
どこか座りの悪い怪奇が上品な短篇集。
幽かな怪異、微かな機微。
うん――幽談、だ。
薀蓄構築積み上げて、迷宮の如き小説を創るのが京極さんですが、
ここにあるのは引き算の美学。
一筆書きみたいなさらりとした味わいが素敵でした。
「手首を拾う」
離縁した妻との記憶を辿りつつ、古宿で過ごす男の話。
枯れた風景と、擦り切れた心情が儚い怪談。絵的に綺麗。
「ともだち」
休暇をとり、かつて育った町に降りた中年の話。
京極さん流の論理で世を語ることで生まれてしまう哀しさ、みたいな印象。
「下の人」
ベッドの下に現れた大きな顔と、奇妙な同棲生活を余儀なくされるOLの話。
ちょっとコミカルで、ラストは仄かにやりきれない。
「成人」
いくつかの手稿から語られる、友人と雛人形を巡る謎の話。
実話怪談的な作風。明かされない部分が逆に恐いけど、もっと簡潔で良かった気も。
「逃げよう」
下校途中で、君の悪い「何か」に追いかけられる子どもの話。
焦燥感の中で、ぼんやりした倒錯と、強烈なイメージが巡る。一番異色だけど一番好き。
「十万年」
現実に違和感を感じながら生きる少年の成長記。
捻じくれているけど、優しい奇譚。これはこれで。
「知らないこと」
奇行を繰り返す隣人を観察する姉弟の話。
他に比べると直裁的なギミックかな。後半の眩暈感は流石のお家芸。
「こわいもの」
恐怖とは何かを己に問い続ける男の話。
京極さん自身の思考を辿っているような気分。考えさせられます。
洒落本や企画本でない、ちゃんとした京極さんの小説は久しぶりで、堪能しました。
幻想に耽溺するでも、絵的な恐怖を繰り出すでもなく、
「語る」という行為をひたすらに見つめることで現出させる異界。
伝統的でありながら、相当オリジナルな怪奇作家だなあと、改めて思います。







